今日のご褒美

7月に読んだ本です。「崖の館」は30年くらい前に書かれた館系ミステリーです。世に出るのが早すぎたのか、作者はすでに鬼籍に入っています。トリックの巧妙さよりも、非現実的な館の雰囲気、衒学的な会話が魅力です。「地球最後の男」はリチャード・マシスンの名作古典SF。マシスンは恥ずかしながら初読でした。だって絶版ばかりなんだもの。みつを。ゾンビものの雛形的作品といえるでしょう。「戻り川心中」は情欲と花のかほりに満ちた浮世離れしたミステリー連作集。これも、トリックの巧妙さよりも、雰囲気を楽しむ作品です。そもそもミステリーである必要があるのか、それすらもミステリーです。「きつねのはなし」は森見氏による怪奇もの。相変わらず京都が舞台で、細かい地名の描写のおかげで、景色が目に浮かびます。今までとは作風が異なるので、これを森見氏の初読にするのはやめましょう。「魔王」は少し期待はずれです。会話の巧妙さとか、ディテールは「らしく」てよいのですが、肝心のストーリーが尻すぼみ。

崖の館 (創元推理文庫)

崖の館 (創元推理文庫)

アイ・アム・レジェンド (ハヤカワ文庫NV)

アイ・アム・レジェンド (ハヤカワ文庫NV)

戻り川心中 (光文社文庫)

戻り川心中 (光文社文庫)

きつねのはなし (新潮文庫)

きつねのはなし (新潮文庫)

魔王 (講談社文庫)

魔王 (講談社文庫)