2月に読んだ本

先月は上下巻ものが多く、それなりにボリュームのあるものを読んでいたため、作品数は5作品と少なかった。


しゃばけ しゃばけシリーズ 1 (新潮文庫)

しゃばけ しゃばけシリーズ 1 (新潮文庫)

薬問屋の若旦那が手代の妖怪と共に、江戸の連続殺人を解決する捕り物。若旦那は病弱で、寝てばかりなのが歯がゆくもあるが、頼りになりそうだが人間と微妙に感性がずれている妖怪に助けられながら、真相に近づいていく。手代の妖怪たちは若旦那にやたら過保護で、若旦那が倒れた後の慌てぶり保護ぶりが、お姫様状態でなんともおかしい。


ダーク・タワー〈2〉運命の三人〈上〉 (新潮文庫)

ダーク・タワー〈2〉運命の三人〈上〉 (新潮文庫)

主人公が旅の仲間を捜し当て次のステップに進むというファンタジーにはなくてはならない章の一つだ。桃太郎の仲間のように頼れるものではないが、魅力のある2人(3人?)が仲間に加わる。プロローグ的な1巻と比較して、かなり盛り上がっており、話の進みも軽い。非常にエンターテインメントが高く、全盛期のキングそのものだ。今後の展開が楽しみ。


世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈上〉 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)

世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)

恥ずかしながら初めて読んだ村上春樹。ハードボイルド近未来SFな世界と、超現実幻想的な世界の話が並行して進んで、最後には一つにまとまっていく。全く両極端に雰囲気の異なる世界が、光と陰のように存在して最後に一つに結実していくあたり、感心させられた。でも、クラムリーっぽいハードボイルドやカフカっぽい超現実とか、「どこかで読んだ」ような味でどうも鼻につく。それからハードボイルドには「かっこいいおんな」が欲しいところだが、ここに出てくる女性は人間味が無くて面白くない。


意外と知らない身近な放射線利用。いわゆるX線写真から、品種改良などわかりやすく紹介。放射線というと被爆のイメージがあり怖いイメージがあるが、きちんと理解した上で怖がることが大事。


日の名残り (ハヤカワepi文庫)

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

アンソニー・ホプキンズ主演で映画化された日系英国人によるベストセラー小説。二次大戦中親ドイツ派だった貴族に使えた執事が、当時のことを振り返りながら、当時の仕事仲間だった女中頭に会いにいくまでの一週間が日記形式で綴られている。華々しい時代でもあり、仕事優先で自分の気持ちに素直になれなかった過去を後悔しつつも、現在の境遇を受け入れて生きていこうとする二人の姿は、斜陽国家となってしまったイギリスの姿と重なり、作者からのメッセージがじんわりと読者の心に染み渡る。文句無しの名作。